This site has limited support for your browser. We recommend switching to Edge, Chrome, Safari, or Firefox.

黒い白鳥

こんにちは、久保です。8月29日月曜夜、東京・渋谷でショーを開くことになりました。23年春夏物のコレクションを披露するもので、今回は「Rakuten Fashion Week TOKYO(楽天ファッション・ウィーク東京)」のデザイナー支援プロジェクト「by R」としてのショーです。

「トーガ」さんや「ビューティフルピープル」さんらが過去に選ばれてますから、「なんで、俺んとこに話がきいひんねん!」と思っていたので、今回のオファーは素直に嬉しいですね。せっかくなんで、自分の記念になるような思いっきりダイナミックなショーにします。今回はめちゃくちゃたくさん服作ってますから、期待しててください。

ダイナミックなショーにしようと考えたのには理由があるんです。最近、自分みたいなプロですら、服の良いものと悪いものの区別がつかなくて、すごく平板なもののように思えてきてて…。SNSなど情報が多過ぎるからなんですかね、根本的な新しさを出さないと埋もれてしまう感覚に陥っているんです。

そんな事を考えながら自分のコレクションを振り返ると、中途半端やったなーと思うことが多い。服の可能性を探りながら、その時々はめっちゃ頑張って服作りをしてきたつもりなんですが、今の時代感から見ればまだまだ足りないな、と。気付きがあったのは少し前にやった空気をはらむ服です。あれぐらい振り切ってやらないと自分も面白くない。

ここ1、2年、そんな風に感じながら洋服作りをしてきたわけですが、そんな中で感動して鳥肌が立ったのが、7月にローマのスペイン広場でやってた「ヴァレンティノ」のショー。「目指すのはここやな」と思て、もっかいネジを巻き直して取り組んだのが今回のコレクションなんです。

今回はやるんですが、これからのショーの有り様についても深く考えるようになりました。ショー自体はなくなりはしないのでしょうし、否定はしません。実際、自分も先輩デザイナーを見て、「いつか自分も」と、頑張ってきましたからね。

でも、世の中が大きく変わって、産業構造も昔と異なっているのに、同じフォーマットで続けることに少し疑問を感じ始めていたりもします。他と違ったことがしたいと思ってずっと服作りをしてきましたから、この状況には耐えられない。ショーを開いて人を集めても、売りに直結するわけでもありませんし。なんか、モノだけじゃないような気が年々してきてるんです。

変な例えですが、ショーの途中で牛乳をかけられるとか(!)、そんな事件が起きない限り、ファッションに目を向けてくれる人は増えないような気がしてきました。世界観を見せてどうこうというのも違う。トップメゾン以外のブランドの多くはYouTubeでランウェイを配信しても、数千人しか見ていませんから。70億人のうち、数千人ですよ。

『ブラック・スワン』じゃないですが、何か大きな変動が起こる前触れに自分たちはいるのではないか。ファッション・インダストリー(産業)ががらっと変わる入り口に。エスタブリッシュメントの極みである金融の名門・リーマン・ブラザーズが破綻するなんて、誰も想像できなかったのに潰れた。余談ですが、『リーマン・ブラザーズ 最後の4日間」ってドラマはめっちゃおもろくて好きなんですよね。

だったら、その前に自分から動いて別のやり方を探るべきではないか。そんなことを毎日考えています。ショー以外の話のネタもあるのですが、それは次回に譲ろうと思います。今後の自分のブランドの立ち位置を表明する柿(こけら)落としになるようなものになるはずです。乞うご期待。

【こちらもぜひ】
「Rakuten Fashion Week TOKYO(楽天ファッション・ウィーク東京)」 yoshiokubo ヨシオクボ 

yoshiokuboデザイナー 久保嘉男インタビューVol.1

Rakuten Fashion 「yoshiokubo (ヨシオクボ)」

Cart

No more products available for purchase

Your cart is currently empty.