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僕がいつも手にする本のはなし。

久保です、こんにちは。

今日は自分がよく手にする本の話をしたいと思います。 自宅にあるものとは別に、仕事をする上で欠かせない本がオフィスにはたくさんありますが、なかでもよく見返すものが今回紹介する3冊です。 1冊目は、「Pattern Making for fashion design(パターン・メイキング)」という本です。

これは30年近く前、フィラデルフィアの学校に入ってから購入した、その名の通り、ファッションデザインのためのパターン作成本で、当時の僕みたいな学生が参考にするものです。95年に刊行されたもので、61ドル50¢とありますから、円高だった当時で言えば5000円弱ぐらいですね。 (関連記事:丁稚時代のオフ時間@NY 洋服作りの経験がなかった自分ですから、これを参考にパターンを理解していきました。ウィメンズのドレスから肌着、水着、子ども服まで全て載っています。 今ではもうパターンの参考目的に開くことはないですが、今の自分を形作ったものであるには間違いないですから、たまにその原点に立ち返って「何か降って湧いてこないかな」と思って開いています。思い出深い書籍です。 2冊目は、「Berberes(ベルベル人)」です。パリではなく、モロッコのかつての帝都・マラケシュにある「イブ・サンローラン美術館」で7年ほど前に購入したもの。2012年の発刊で多分アマゾンなどでは扱っていないものです。

フランス語なので内容はほとんど理解できないのですが、「ベルベル人」について書かれたものなのでしょう。「ベルベル人」というのは北アフリカの広い地域に古くから住む先住民族で、先史時代以降、ローマ帝国やイスラム帝国、19世紀以降はフランスといった周辺の強国に翻弄されてきた歴史も持ちます。 この本で好きなのは写真で、とにかく綺麗なんです。 その中でも、長いシャツのような非常にシンプルな作りの男性の服には、目を惹きつけられます。身幅が大きく分量があるので、例えば、カバンを上半身にタスキ掛けするとギャザーが強く寄るんです。その辺りの感じが好きで、自分たちの服でどう再現できるか、みたいなことを考えています。

自分は「muller of yoshiokubo」というウィメンズのブランドもやっていますが、ミュラーで大事にしているのがタックとギャザーとドレーピング。これらの表現は既成服の場合、量産に耐えうるパターン化が必要で、あまり凝ったものにすると生産時にトラブルが起きる危険性もあります。

例えば、生地をぐっと手で握った時に出るテキスタイルの表情はたぶん量産できません。糸で縛ったりしなければなりませんが、それだと量産に向かない。でも、それをギリギリのところまで追求したいし、それがデザイナーを生業としている人間の使命だと思っています。この本をぼーっと見ていると、まだまだ表現できていないことが多いなと感じています。 3冊目は、「African Textile Today」です。 これは2012年の本ですが、少し前にTSUTAYAで購入しました。アフリカのテキスタイルの成り立ちを調べようと思ったからです。

この本で知ったのですが、みなさんがよく目にするアフリカのあの独特のテキスタイル(柄)って、実はオランダ由来なのだとか。

どういうことかと言うと、19世紀の終わり頃、インドネシア(オランダ領東インドネシア)の宗主国であったオランダに従軍していたアフリカ兵グループが、インドネシアのろうけつ染めの綿布(ジャワ更紗)を母国に持ち帰ったところ、外来品に憧れがあったのか、現地でえらい人気になったそうで、それを知ったオランダなどが工業生産し、一気に広がったのだそうです。もちろん、柄はアフリカ人がより好むものに変わってはいましたが。 この本はタイトル通り、アフリカの今のテキスタイルデザインについて書かれたものですが、非常にクリエイティブ。歴史を踏まえた構成になっているので、昔のこともたくさん書かれたりしていますし、写真もたくさん載っています。

アフリカの柄の何が好きかって言うと、柄がずれているところなんですね。 多分、きちんとしようとしているのでしょうけど、ルーズになってしまっていて、それがいい味になっている。

どの国のどの柄も、その場所や環境を表したものがほとんどですが、アフリカはやはりアフリカっぽい、身の回りに見えるものや習慣がモチーフになっています。これを日本という国に落とし込んだらどうなる、みたいな発想で、ミュラーの服を作ってみたことがありましたが、非常に受けてよく売れました。

思い入れのある本はまだ他にもあるので、いつかまた。

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