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着心地ってなんやねん

こんにちは、久保です。いきなりですが、着心地、着心地ってみなさんよく言いますよね。 着心地にも色々ありますが、よく言われるのは、生地と肌の空間をどんだけ埋めるとか?とか、生地が肌に触れる部分の話が多いような気がします。

僕の考える「着心地」はそれとはちょっと違っていて、腕や足の可動域がどれだけ取れるかというのが意識としては強い。足を前に運ぶ時にいかにスムーズに出るかとか、首を曲げる時にどんだけストレスを減らせられるかとか、そんな話です。

着心地というのはなかなか微妙な話で、ちょっとしたことで全然変わってきます。一例ですが、コートの場合は、僕の経験上、首の後ろに柔らかい生地をあてるだけで着心地良く感じるものなんです。

着心地には“誤解”もあるように思うこともあります。例えば、試着した時に手を真上にあげて確かめたりしますよね。でもね、そんな真上に手をあげる機会ってそんなあります?

イエローキャブを止めるニューヨーカーやあるまいし(笑)。ニューヨークでは思いっきり手を挙げないと気付かないからかもしれませんが、日本やと軽く手をあげるだけで止まってくれるーー。だから、デザインの制約に繋がるのであれば、もしかしたら手を挙げる部分に関しては犠牲にしていいかもしれないとすら思います。

着心地はもちろんお客さんにとっては大事な要素ですが、僕らみたいなデザイナーにとっては実は難題です。着心地とデザインというのは、場合によっては、トレードオフの関係になるからです。着心地を優先することで、デザインが制約を受けることもあるし、その逆もしかり。

「身体に服を合わせるか、服を身体に合わせるか」というのはヴィヴィアン・ウエストウッドの至言ですが、まさにそうで正解はありません。

余談ですが、天皇陛下のパタンナーの方のお話を耳にする機会があって面白い話を聞きました。陛下がお座りになる時、お立ちになっている時、歩かれる時と、シチュエーションによってパターンを変えていると言うのです!状況に応じて綺麗に見えるパターンを選んでいるということに感嘆しました。

美しさや綺麗さはパターンに依存すると僕は思っています。でも、必ずしもそれが最高の着心地を約束できるかと言うと、話はそう簡単ではありません。それぐらいデザイナーにとって“着心地問題”は扱いづらいイシューなんです。

今はオーバーサイズがブームですが、ぶっちゃけ着心地は良くないはずです。あなたはどうでしょうか? それでもデザイナーですから、何かパターン等のテクニックを駆使してオーバーサイズの“着心地問題”を解決できないものか、といつも考えています。ボリュームシルエットであっても、着用イメージを予知しながら最善の解を見つけて形にし、世の中にお渡しする。それが僕らの仕事なのです。

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