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初のデジタル作品

最近話題のNFT作品の製作に取り掛かっている久保です。こんにちは。

NFTいうのは非代替性トークン(Non FungibleToken)の英語略なのですが、なんのこっちゃ分かりませんよね。NFTそのものは、ブロックチェーン上の電子証明(鑑定)書。僕が作った作品の一意性(唯一無二性)を証明するデジタルデータなんです(ブロックチェーンというのは、簡単に言えばデータの改竄(ざん)が困難なプログラミングです。あとはググってください)。

なんで、証明書がいるのか。例えば、アート作品というのはもう何百年も紙の鑑定書でやり取りをしてきたのですが、これだと偽造の可能性が常につきまとう。そのために真正品かどうかを確かめるための時間とコストにすごい時間がかかってたんですね。これを改竄できないデータとしてブロックチェーンに紐づければ、そんな時間やコストが省けるというわけです。

NFTは当然、デジタル(アート)作品と相性がいいに決まっていますが、実はフィジカル(実物)作品にも付与できるものです。例えば、絵画作品であればICタグを裏側にくっつけてやるやり方はそのひとつ。所有者はスマホでICタグを読めば、情報確認が簡単にできる、というわけです。

アート作品というのはプライマリー市場とセカンダリー市場で流通します。作り手が最初の客に売るのがプライマリー、その後、オークションや個人間で取引されるのがセカンダリーです。アートにとってはセカンダリー(転売)市場が大切になるわけですが、上述したような事情で流通は非常に脆弱でしたが、そこをNFTでシャキッと整えようというのです。

前置きが長くなりましたが、現在製作しているのは8体のドレス。実際につくったドレスをスキャンしてデジタルデータに変換し、NFT(ブロックチェーン証明書)に紐付けて販売するのです。デジタルデータなのでコピーしまくれるのですが、本物を持っているのは購入者だけで、それをNFTが証明してくれるようになります。

実際にモノを作成した上でデータに変換するというプロセスがキモで、僕らデザイナーがやる意味がある。二次元のデジタルデータなら、じゃあ、アニメとか絵とかとどこが違うの?ってなりますよね。例えばアニメだったら、実際の洋服作りでは難しいことも簡単にできる。縫い代もいらないし、叩く必要もない。無限大に好きなように描ける。それはあくまで空想や夢の世界。僕らは実際に作るので、当然“実(物)”があるのがポイントです。

実際に作っていると、ディテールや生地のテクスチャー、副資材とか細かいところまでリアリティが出せる。だって、ほんまにそんな風に作っているから。今は技術の問題もあってそこまでは細かくは表現しきれないところもあるのですが、早晩技術の問題は解決されるはずです。となると、結局、洋服作りのプロのものとそうではないもの、模造品や模倣品との違いがパキッと分かるようになるはずです。僕のようなデザイナーがNFTファッションをやる意味はそこにあると思うんですよ。

今月披露する予定ですが、まだ完成には至っていません。試しにデジタル化ってどんなんか、テスト版を作ってみたんですがおもしろいですね。せっかくなんでこっちは以下に載せときます。見てるとクスっとくるかもしれませんが、作る方は至って真面目におもしろがってます。ほんまに当日までに思うように出来るのかは心配ですがギリギリまで詰めていきます。ボヤッとした言い方ですが、風と洋服の関係性がテーマです。



最終ゴールがデジタル作品なので、逆に思い切ったモノ作りをしました。普通ならやらないめちゃでかいドレスを作りましたからね。洋服のリアリティを追求しつつ、でもデジタルの世界なんだからダイナミズムを表現したい。となると、実際に大きなモノを作らないと仕方ないのです。なんか、不思議な話ですけどね。あとちょっとなので、楽しみにしててください。

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