yoshiokuboとして初の試みとなった、「“気に入って着ていたけれど、最近出番が少なくてクローゼットでお休み中”というyoshiokuboの一着を預けてもらい、世界に一着しかないオリジナルの洋服にリメイクする」という企画。 11月末にリメイクが完了し、生まれ変わった一着をお届けすることができました。そこで、今回は「唯一無二」の一着ができあがるまでの話を綴っていきます。
「リメイク企画の後日談、“過去の自分”に再会した話」でも紹介しましたが、リメイクすることになったコートはyoshiokubo初のコレクションとして世の中に出した一着。 実物は状態も良く、過去の自分の服づくりへの考え方や今の自分とのちょっとした違いを客観的に振り返るいい機会になりました。
そういうわけで、自分の“原点”をじっくり見ていると……
「手を入れたくない!」という気持ちに。
そもそも「リメイク」って、方法は無限にあるんですよね。
きっと多くのひとは、「リメイク企画と銘打つくらいだし、切ったり貼ったり、いろいろやって劇的に変えるんやろうな」と想像していたと思うんですよ。僕も実際にそういうのを考えたりもしていました。
だけど、いざリメイクするとなると、前述の通り「手を入れたくないな」と。
そうした中で、「じゃあどうリメイクするか?」方向性を定めるまでの間はかなり迷いました。
そして、行き着いたのは、「自分がされたくないことはせず、極力手は入れないけど生まれ変わらせる」という基本方針です。
そうすると、元の形を残すというルールを課した上で、何をしたら“新しく”なるか? を考えなければならないわけですが、出した答えはyoshiokuboらしさ全開。
やっぱり「異素材使い」でした。
過去の作品に、今好きな要素を被せて一体化させる
では、具体的にどうリメイクしたのか、説明していきましょう。 結論から言うと、今回リメイクすることになった綿100%コートに、半透明のポリウレタン100%の生地で“カバー”を作り、覆い被せることにしました。 綿素材×ポリウレタン素材という異素材MIXに加え、元のコートにはなかった「向こう側が見えそうで見えない、境界線が曖昧でよりじっくり見たくなる」という好奇心を掻き立てるような要素や、「動作に連動して生まれる動き」という要素を加えようと考えたわけです。
こうして書くと、「じゃあ、レインコートを被せる感じだろう」と想像してもらえるかと思います。確かにそうなのですが、これをyoshiokuboらしく、モダンでキレイに見せるようにするためにまずは一工夫。 元のコートのパターンを再び引き直し、それに対して数ミリ大きいカバー部分のパターンを新たに描いていきました。動画で言うところの蛍光の水色の部分です。
パターンを引き直して思ったのですが、この元のコートのフード部分って、キレイな形を保てるように橋渡しする布を走らせていたりして、結構当時の自分、ちゃんと考えてあるんですよ。
この形を保ち、きちんと沿うようにポリウレタン素材のフードも再現するのは結構テクニックが必要になりました。
半透明のカバー、よく見ると縫い代すらデザインのアクセントになっている
今回のリメイクのキモになるポリウレタン素材のカバー部分。
このポリウレタン素材の生地の顔まわりや袖口などの部分の縫い代については、「よく見ると縫い代すらデザインのアクセントになっている」ことを目指すことにしました。
そうなると、生地が滑ってズレて縫い目がキレイに仕上がっていないとか、縫い目の穴が広がって生地の強度を下げるなんてことになってはダメなんです。それを踏まえて、ポリウレタン素材の生地を三重に折って、滑りがちな生地に対して糸の調子をきちんと合わせて丁寧に縫い合わせる必要があり、その工程はかなり神経を使うし、テクニックも必要となりました。
が、写真の通り狙った通りの仕上がりに。
ポリウレタン素材の「あんまり見ない表情」と「ポリウレタン素材らしい表情」のどちらもが一着の中に同居した、おもしろい試みになっていると思っています。
極力元のままの姿を残せたから、数年後にまたリメイクできる
さて、新たに付けたポリウレタン素材のカバー部分は元のコートと凹凸ボタンでドッキングさせる仕様になっていて、これだけが唯一、元のコートに手を加えた部分です。 そして、カバー部分を取り外して元のコートの姿でも着続けてもらえるように、元のコートの凹ボタンに被せる凸側のドットボタンを付属品として付けることにしました。
奇抜ではないけど、見たことがない一着。
よくよく見てみるといろいろ手が込んでいる。
そんなyoshiokuboらしさが詰め込まれた、唯一無二に仕上がったかと思います。
10年くらいは着てもらえたら嬉しいですし、また10年後にカバー部分を新しくしたり、もっと手を入れて大胆にリメイクするのもおもしろいでしょう。
最近yoshiokuboでは、「しっかりと考え尽くして丁寧に作り上げた唯一無二とも言える一着を作ることができれば、簡単に“消費”されることなくずっと長く愛着をもって着続けてもらえるはず」という考え方をより強く持ちながら服づくりをしていますが、この一着にもそんな想いを宿らせることができたと考えています。
しかし、リメイク企画はほんまに難しかった!
今後また同じ企画をするかどうかは考え中ですが、もし募集する場合はオフィシャルインスタグラムかオフィシャルLINEアカウントで告知するので、よかったら登録お願いします!
公式インスタグラムアカウント
@yoshiokubo_official
公式LINEアカウント
@yoshiokubo
さて、どうリメイクしようか? →yoshiokuboらしく異素材使いで!
「リメイク企画の後日談、“過去の自分”に再会した話」でも紹介しましたが、リメイクすることになったコートはyoshiokubo初のコレクションとして世の中に出した一着。 実物は状態も良く、過去の自分の服づくりへの考え方や今の自分とのちょっとした違いを客観的に振り返るいい機会になりました。
そういうわけで、自分の“原点”をじっくり見ていると……
「手を入れたくない!」という気持ちに。
そもそも「リメイク」って、方法は無限にあるんですよね。
きっと多くのひとは、「リメイク企画と銘打つくらいだし、切ったり貼ったり、いろいろやって劇的に変えるんやろうな」と想像していたと思うんですよ。僕も実際にそういうのを考えたりもしていました。
だけど、いざリメイクするとなると、前述の通り「手を入れたくないな」と。
そうした中で、「じゃあどうリメイクするか?」方向性を定めるまでの間はかなり迷いました。
そして、行き着いたのは、「自分がされたくないことはせず、極力手は入れないけど生まれ変わらせる」という基本方針です。
そうすると、元の形を残すというルールを課した上で、何をしたら“新しく”なるか? を考えなければならないわけですが、出した答えはyoshiokuboらしさ全開。
やっぱり「異素材使い」でした。
過去の作品に、今好きな要素を被せて一体化させる
では、具体的にどうリメイクしたのか、説明していきましょう。 結論から言うと、今回リメイクすることになった綿100%コートに、半透明のポリウレタン100%の生地で“カバー”を作り、覆い被せることにしました。 綿素材×ポリウレタン素材という異素材MIXに加え、元のコートにはなかった「向こう側が見えそうで見えない、境界線が曖昧でよりじっくり見たくなる」という好奇心を掻き立てるような要素や、「動作に連動して生まれる動き」という要素を加えようと考えたわけです。 こうして書くと、「じゃあ、レインコートを被せる感じだろう」と想像してもらえるかと思います。確かにそうなのですが、これをyoshiokuboらしく、モダンでキレイに見せるようにするためにまずは一工夫。 元のコートのパターンを再び引き直し、それに対して数ミリ大きいカバー部分のパターンを新たに描いていきました。動画で言うところの蛍光の水色の部分です。
パターンを引き直して思ったのですが、この元のコートのフード部分って、キレイな形を保てるように橋渡しする布を走らせていたりして、結構当時の自分、ちゃんと考えてあるんですよ。
この形を保ち、きちんと沿うようにポリウレタン素材のフードも再現するのは結構テクニックが必要になりました。
半透明のカバー、よく見ると縫い代すらデザインのアクセントになっている
今回のリメイクのキモになるポリウレタン素材のカバー部分。 このポリウレタン素材の生地の顔まわりや袖口などの部分の縫い代については、「よく見ると縫い代すらデザインのアクセントになっている」ことを目指すことにしました。
そうなると、生地が滑ってズレて縫い目がキレイに仕上がっていないとか、縫い目の穴が広がって生地の強度を下げるなんてことになってはダメなんです。それを踏まえて、ポリウレタン素材の生地を三重に折って、滑りがちな生地に対して糸の調子をきちんと合わせて丁寧に縫い合わせる必要があり、その工程はかなり神経を使うし、テクニックも必要となりました。
が、写真の通り狙った通りの仕上がりに。
ちなみに、「どのくらい難しいか?」は、ビニール袋を普通の糸で縫ってみるとわかると思います。興味がある方はぜひ実験してみてください。
「あんまり見ない表情」と「ポリウレタン素材らしい表情」を同居させる
ポリウレタン素材の「あんまり見ない表情」と「ポリウレタン素材らしい表情」のどちらもが一着の中に同居した、おもしろい試みになっていると思っています。
極力元のままの姿を残せたから、数年後にまたリメイクできる
さて、新たに付けたポリウレタン素材のカバー部分は元のコートと凹凸ボタンでドッキングさせる仕様になっていて、これだけが唯一、元のコートに手を加えた部分です。 そして、カバー部分を取り外して元のコートの姿でも着続けてもらえるように、元のコートの凹ボタンに被せる凸側のドットボタンを付属品として付けることにしました。 奇抜ではないけど、見たことがない一着。
よくよく見てみるといろいろ手が込んでいる。
そんなyoshiokuboらしさが詰め込まれた、唯一無二に仕上がったかと思います。
10年くらいは着てもらえたら嬉しいですし、また10年後にカバー部分を新しくしたり、もっと手を入れて大胆にリメイクするのもおもしろいでしょう。
最近yoshiokuboでは、「しっかりと考え尽くして丁寧に作り上げた唯一無二とも言える一着を作ることができれば、簡単に“消費”されることなくずっと長く愛着をもって着続けてもらえるはず」という考え方をより強く持ちながら服づくりをしていますが、この一着にもそんな想いを宿らせることができたと考えています。
しかし、リメイク企画はほんまに難しかった!
今後また同じ企画をするかどうかは考え中ですが、もし募集する場合はオフィシャルインスタグラムかオフィシャルLINEアカウントで告知するので、よかったら登録お願いします!
公式インスタグラムアカウント
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