yoshiokubo Fall/Winter 2025 Collection「KESSAKU」のランウェイショーが終わった直後のこと。 久しぶりに家族みんなでイタリア・ローマに旅行に行ってきました。
デビュー以来ショーをすることも多かったし、ヨーロッパ方面に洋服を卸す中で一番取り扱いが多かったこともあり、イタリアは自分にとっては思い入れの強い国のひとつ。 さらに、古くからの友人であるフィリッポから「子どもが生まれた!」という話を聞いたとあっては、行ってお祝いしないわけにはいかなかった、というわけです。 ちなみに、フィリッポには、記念すべきデビューとなった2006-7 fall/winter collectionのプロモーションビデオを撮影してもらったこともあります。 終始イタリア映画のトーンで描かれるyoshiokuboの世界観を表現したビデオ、よかったらぜひ見てみてください。
さて、フィリッポの家に泊めてもらってプライベートにイタリアを楽しむひと時で「何が一番印象に残ったか?」というと、やっぱり日々の食事。 イタリア旅行の醍醐味と言えば、料理ですね!
街の一角にある地元の人しか行かないような小さな食堂でも思わず無言になって食べたくなるほどおいしいひと皿が。しかも安いんですよ! 大人5人とうちの子どもたち、そして赤ちゃんひとりで入ったフィリッポオススメの食堂では、旬のズッキーニの花のフリッターやピザ、煮込み料理などがテーブルいっぱいに並び、大人たちでワインを2本も楽しんだのに150ユーロ程度(だいたい25,000円くらい)ととてもリーズナブルな価格で満腹・満足になれました。 仕事も忘れ、思いっきり羽を伸ばしていたのですが、ふと昔を懐かしむ機会もありました。 たとえば、30年来の憧れであり、「いつかここに自分の服を卸したい」と思っていたセレクトショップを訪れたのもそのひとつ。 ただ…なんとそのお店、閉店していたんです。
服好きのイタリア人ですらセレクトショップで服を買わなくなったのは時代の流れなのか、ファストファッションのお店はたくさんあるのに老舗のセレクトショップがなくなっているのを目の当たりにしたことは今回のイタリア旅行で唯一ショックな出来事でした。
そこでふと疑問に思ったのが、 「ファストファッションが“当たり前”になる中で、ファッション大好きイタリア人はどうやって個性を楽しむ服を手に入れているか?」ということ。 いろいろ見聞きすると、どうやら古着の市場が活気付いているようです。 若い服好きの子たちはプラダやエルメスなどラグジュアリーブランドのヴィンテージを買って、それを楽しんでいるのだとか。
これはイタリアだけでなく、うちの会社でも見かける服の買い方。 「なるほどな」と同時に、 エクストリーム(急進的、極端)なデザイン、テクニック、生地のチョイスといった服を構成する全ての要素についてユニークで、個性を全面に見せるブランドを目指すyoshiokuboとしてはいろいろと考えさせられるひと時にもなりました。